働くホルモン②

前回は、生理痛やそれに伴う不快症状、月経過多の原因を説明しました。

食べ物から摂取する油分を原料に、プロスタグランジンというホルモンが作られることがその主な要因でした。参考にした本自体がかなり昔のものなので、アップデートするべくさらにもう少し調べてみたのですが、「血管拡張、血圧下降、血小板凝集阻害、胃酸分泌抑制、胃粘膜保護作用、下痢誘発発熱作用痛覚過敏、免疫抑制作用、気管支拡張、子宮収縮」などの作用もあり、なかには大事な働きもありますので、一概にこれらが悪いとは言えませんが、太字にしたものは生理に伴って症状が出てくるものもあるなぁと思いました。それだけではなく、糖尿病や心臓病、アレルギー性皮膚炎やうつ病を引き起こす要因になるとも…。

それでは、女性はこのプロスタグランジンの働くままに、苦痛の伴った生理を毎月過ごさなければならないのでしょうか。正直、わたしはそんな日々を過ごしたくありません。少しでも生理の時期を軽く過ごせるなら、女性のQOLはどれほど向上するでしょうか。単純にQOLだけの問題ではなく、自己肯定感やメンタルヘルスにも深くかかわってくる問題だと個人的には思っています。

さて、前回ご紹介させていただいた「女性のためのナチュラルハイジーン」という本の中では、このプロスタグランジンの「炎症を引き起こし、痛みを劇症化する」という働きに対し、まったく正反対の働きをするホルモンのことが書かれていました。

なんと、そのホルモンの名前もプロスタグランジン。……いやいや同じなんかいΣ(゚Д゚)、と思われると思います。私も当時そう思いました。大変紛らわしくて申し訳ないのですが、生理に大きく関わるプロスタグランジンには2種類あり、炎症性プロスタグランジンと抗炎症性プロスタグランジン(正確にはプロスタグランジンE3)とがあります。

今回お話しする抗炎症性プロスタグランジン(以下抗炎症性P)の原料になるものも、やはり油分です。大事なのはその油分の種類ですね。炎症性プロスタグランジン(以下炎症性P)を作り出す油分は、サラダ油や肉類、チーズ、マヨネーズなどオメガ6系脂肪酸に含まれるもの。対して、抗炎症性Pを作り出す油分は、えごま油、亜麻仁油などのオメガ3系脂肪酸。オメガ3系脂肪酸に由来のホルモンについては、あらたに抗炎症性機能があるものも発見されてきているそうですが、ここではまとめて、抗炎症性Pに代表をつとめてもらおうと思います。

オメガ何系~ってよく耳にしたこともあるかと思いますが、この2種類の脂肪酸のバランスが生理のタイプをまったく変えてしまいます。

それでは、抗炎症性Pはどんな働きをするのか見ていきたいと思います。

主に、「炎症や痛みを抑制し、子宮内膜を溶かす酵素を作る」働きをします。子宮内膜を溶かす…ということが、生理にどう関わってくるのかというと、前回、内膜を厚くする作用が炎症性Pにあるとご説明しましたが、その内膜がうまく溶けないまま強制的にはがれると生理痛は強くなり、場合によっては子宮内に傷ができたり、血の塊のような経血が排出されることがあります。つまりはがれるときに、もうすでに内膜が溶けていたら痛みは少ないわけです。スムーズにこの内膜が経血として出てこられるかどうかが大事で、どろどろしている経血だとはがれにくいし、うっ血して出てきにくくなってしまったり、生理が長引いたりします。

この2種類のプロスタグランジンの仕組みを知っていたら、生理が重いときには炎症性Pが多い状態で、軽い状態であれば抗炎症性Pがきちんと作られている状態だ、ということが自分で判別できるようになります。となれば、やることはひとつです。どうやってこのふたつの油分のバランスを取るか。

最近は亜麻仁油やえごま油、またEPA(新鮮な魚にも含まれています)などのサプリは、どこでも売っていて、手に入れるのも簡単です。わたしがこの本を読んだときにはまだなかなか亜麻仁油とか少なかったから、どこで手に入れるか大変だった記憶がありますが…笑 うまく普段の食生活の中に取り入れてあげて、自分の体調とか生理時とかにどういう変化が起きるのかを試してみてほしいなと思います。

気を付けてほしいのは炎症性Pが多い状態で、抗炎症性Pも増やしてしまうと、出血量がいつもより多く感じることがあるかもしれないので(出血量は変わってなくても経血がサラサラの状態になっている)、必ずいつもよりオメガ6系脂肪酸の量を減らして、オメガ3系も取るということを意識してくださいね。

抗炎症性Pの原料になるオメガ3系の脂肪分もたくさん取ればいいというわけではなく、あくまでもオメガ6系脂肪酸とのバランスが大切だということを念頭に置いていただければと思います。

ネイルサロンのお客様にも時々お話させていただきますが、栄養のバランスが大事だと言われているのは、身体の中で様々な働きをする要素が偏らずまんべんなく存在してくれたほうが、こういったホルモンや酵素など目に見えないものが必要に応じて、必要な仕組みを体内で勝手に動かしてくれて、わたしたちは現状を維持することができ、病気にもならず生きていけるからです。そうはいっても、完璧に栄養を考えるのは難しいと思いますし、多すぎるものを減らしたり、足りないものはサプリで補ったりと、できる範囲で少しずつでも変えていくのが大事かなと思います。わたしも、かつては好きに食べ過ぎて(^^;)もうすでに自分の身体を痛めつけてしまったので(内部の癒着などは治しようがないです)、できることをやってこれからも自分の身体を大切にしていきます。

そういえば前回書き忘れたのですが、わたしは子供の頃たくさん食べても太らない体質だったのですが、やはり肉類が多いとかなりの便秘体質になってしまい、腸内環境が最悪でした。なので、にきびがとにかく全顔にできてしまって、とてもつらかったです。両親からは単なる遺伝だろうと言われ、当時はなぜ家族の中で自分だけこんなににきびがひどいのかわかりませんでしたが、鍼灸師の夫と知り合ったり(東洋医学や健康情報を教えてくれるので。笑)、自分で調べるうちに過剰な肉食が原因だったとわかりました。にきびは高校2年生くらいから落ち着きましたが、当時のにきび後はまだ残っているので、昔の自分に理由を教えてあげたいくらいです。

話を栄養に戻します。笑

また、この栄養関係以外にも、運動などをして摂取した脂肪分を消費する方法もあります。特に脂肪はエネルギーなので、身体に入れたあともそのエネルギーは消費されなければ蓄積されていきますが、生理の方ばかりに向かわないように、少し汗ばむくらいの運動をすると、骨盤周辺の血流もよくなりますし、プロスタグランジンになる前に消費されれば、理論的に生理も軽くなります。毎日できなくても、2日おきとか1週間に何回とか自分で決めて、運動量を増やしてみてください。今はyoutubeなどでもいろいろな方がエクササイズを動画にしてくれていますし、自分に合ったものを見つけて運動するのも楽しいかと思います。もしくはパーソナルジムに行って、がっつり運動するというのもいいですよね。

わたしは運動苦手ですし、できればやりたくない(笑)ですが、40代過ぎてどんどん代謝が悪くなっているので(しかもネイリストは座ってする仕事で絶対的に身体の動きが少ないです)、体型維持も含めてまた今年も少しずつ再開していきます。

色々と書き綴りましたが、科学的な記述についてはわかりやすくするため、省いているものがあることをご了承いただければと思います。栄養の複雑な要素については、自分で調べて理解していますし、すべてを緻密に書くのは無理なので、今回はわかりやすさを重視して書きました。また、前回冒頭でも書きましたが、もし生理に限らず体調面で異変を感じたら、まずは病院で診察を受けてください。わたしのこの記事は、病気が内部にない人向けであり、まだ栄養面で改善できる人向けです。その点についてご理解よろしくお願いいたします。

それでは2回にわたり、読んでくださってありがとうございました。少しでもなにかのお役に立つことを祈っています。

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